2026年5月12日
自由研究でデータ分析に挑戦しよう
「自由研究のテーマが決まらない」「プログラミングを使った研究がしたい」——そんな人にデータ分析がおすすめです。身近なデータを集めて分析すれば、立派な自由研究になります。
この記事では、テーマの決め方だけでなく、実際のデータを使って平均値・中央値・分散を自分の手で計算する例を紹介します。手順どおりに読み進めれば、自分のデータでも同じように分析できるようになります。
夏休みの自由研究でプログラミングに挑戦する方法と合わせて読むと、テーマ選びの参考になります。
テーマ例5選
- 気温と売上の関係:コンビニのアイス売上と気温の相関を調べる
- 通学時間の分析:クラスメイトの通学時間を集計し、平均・中央値・分散を求める
- SNS投稿時間の傾向:自分のSNS投稿時間を1週間記録し、パターンを分析
- テスト勉強時間と点数の関係:勉強時間と成績の相関を散布図で可視化
- 地域の人口推移:自分の市区町村の人口データ(公開データ)をグラフ化
この中から、以下では「②通学時間の分析」を例に、データ収集からレポートまでの全工程を実際の数値で追ってみます。
手順(5ステップ)
- テーマを決める:「何を知りたいか」を明確にする
- データを集める:アンケート、公開データ、自分で計測
- データを整理する:表計算ソフト(Googleスプレッドシート)に入力
- 分析する:平均値、中央値、分散を計算。グラフを作成
- 考察する:「データから何がわかったか」「予想と違ったか」を書く
実演:通学時間データで平均・中央値・分散を計算する
クラスメイト10人に「家から学校までの通学時間(分)」を聞いたところ、次のようなデータが集まったとします。
| 生徒 | A | B | C | D | E | F | G | H | I | J |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通学時間(分) | 15 | 20 | 10 | 25 | 30 | 15 | 20 | 35 | 10 | 20 |
① 平均値を求める
平均値は「全部の値を足して、個数で割った値」です。まず10人分の合計を計算します。
15 + 20 + 10 + 25 + 30 + 15 + 20 + 35 + 10 + 20 = 200
合計200分を人数10人で割ると、平均値は次のようになります。
200 ÷ 10 = 20(分)
② 中央値を求める
中央値は「データを小さい順に並べたときの真ん中の値」です。まず10個の値を小さい順に並べます。
10, 10, 15, 15, 20, 20, 20, 25, 30, 35
データが10個(偶数)なので、真ん中の5番目と6番目(20と20)の平均を取ります。
(20 + 20) ÷ 2 = 20(分)
今回は平均値と中央値がどちらも20分で一致しました。これは、極端に大きい・小さい値(外れ値)が少なく、データが真ん中付近に集まっているためです。
③ 分散と標準偏差を求める
分散は「データが平均からどれくらいばらついているか」を示す値です。各値と平均(20)との差を求め、それを2乗してから平均します。
| 値 | 15 | 20 | 10 | 25 | 30 | 15 | 20 | 35 | 10 | 20 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均との差 | -5 | 0 | -10 | 5 | 10 | -5 | 0 | 15 | -10 | 0 |
| 差の2乗 | 25 | 0 | 100 | 25 | 100 | 25 | 0 | 225 | 100 | 0 |
差の2乗をすべて足すと 25 + 0 + 100 + 25 + 100 + 25 + 0 + 225 + 100 + 0 = 600 になります。これを人数10で割ったものが分散です。
分散 = 600 ÷ 10 = 60
分散は単位が「分の2乗」で直感的にわかりにくいため、平方根(ルート)を取って「標準偏差(ひょうじゅんへんさ)」にします。標準偏差は元のデータと同じ「分」の単位に戻せるので、ばらつきの大きさを実感しやすくなります。
標準偏差 = √60 ≒ 7.7(分)
つまり「平均20分、標準偏差約7.7分」ということは、多くの人の通学時間がだいたい12〜28分の範囲に収まっている、と読み取れます。
④ スプレッドシートで計算する場合
手計算の仕組みがわかったら、実際の自由研究ではスプレッドシートの関数を使うと速く正確です。A1〜A10セルにデータが入っている場合、次の関数で同じ結果が得られます。
=AVERAGE(A1:A10) 平均値 → 20
=MEDIAN(A1:A10) 中央値 → 20
=VAR.P(A1:A10) 分散(母集団) → 60
=STDEV.P(A1:A10) 標準偏差(母集団) → 7.745... 関数名の末尾が「.P」のものは「集めたデータそのものを全体(母集団)とみなす」計算方法です。クラス全体ではなく一部の生徒からアンケートを取った場合など「標本」として扱いたいときは、末尾が「.S」の関数(VAR.S / STDEV.S)を使う場合もあります。自由研究では基本的に「.P」で問題ありません。
グラフの選び方と分析のコツ
グラフの選び方:比較→棒グラフ、変化→折れ線グラフ、割合→円グラフ、関係→散布図。
先ほどの通学時間データなら、10人分の値を棒グラフにして「誰が一番遠いか」を比較できますし、5分刻みで「10〜14分:2人、15〜19分:2人、20〜24分:3人…」のように区間ごとの人数をまとめてヒストグラム(度数分布を表す棒グラフ)にすれば、ばらつきの形が一目でわかります。
分析のコツ:
- 「平均値だけ」で判断しない。中央値や分散も見る
- 外れ値(極端に大きい/小さい値)がないか確認する。例えば上の10人に「通学時間90分」の生徒が1人混ざると、平均は大きく引き上げられるが中央値はあまり動かない
- 「相関がある」と「因果関係がある」は別物
- サンプル数が少ないと信頼性が低い(最低20〜30件は欲しい)
レポートの構成
- テーマと動機:なぜこのテーマを選んだか
- 仮説:「〜だと予想する」
- データ収集方法:どうやってデータを集めたか
- 分析結果:グラフと統計量
- 考察:仮説は正しかったか、なぜそうなったか
- まとめと今後の課題:わかったこと、もっと調べたいこと
例えば通学時間の例なら、「④分析結果」の欄には「平均20分・中央値20分・標準偏差約7.7分」という数値と棒グラフを載せ、「⑤考察」では「電車通学の人ほど時間が長い傾向があった」といった、数字の裏にある理由を自分の言葉で書くと評価されやすくなります。
自由研究の「まとめ方」完全ガイドでレポートの書き方を詳しく解説。情報Ⅰのデータ活用の知識がそのまま使えます。
独学ロードマップでデータ分析スキルの学習パスも確認。GitHub Pagesで分析結果をWebページとして公開もできます。
まとめ
- ✅ 身近なデータを集めて分析すれば自由研究になる
- ✅ 5ステップ(テーマ→収集→整理→分析→考察)で進める
- ✅ 平均値・中央値・分散・標準偏差は手計算とスプレッドシート関数の両方で求められる
- ✅ グラフは「何を見たいか」で種類を選ぶ
- ✅ 相関と因果を混同しない
- ✅ 情報Ⅰのデータ活用分野の予習にもなる