2026年5月12日
自由研究にAIを活用しよう
AIは「使うだけ」ではなく「研究対象」にもなります。AIの仕組みを調べたり、AIの回答の正確さを検証したり、AIを使って何かを作ったり——テーマは無限にあります。
AIツールは種類が多く、新しいものも次々に登場します。この記事では特定のツール名にしぼらず、どのAIツールを使う場合でも共通して使える「進め方」と「注意点」を解説します。使うツールは学校で許可されているもの、家庭で使い慣れているものを選べば大丈夫です。
夏休みの自由研究でプログラミングに挑戦する方法と組み合わせて、AIを活用した研究に挑戦しましょう。
AIを活用した自由研究テーマ5選
それぞれのテーマについて、目的・進め方・実際に試すプロンプト(AIへの指示文)の例をセットで紹介します。
- AIの回答精度を検証する
目的:AIは何でも正しく答えるわけではないと自分の目で確かめる。
進め方:教科(歴史・理科・数学など)を1つ決め、教科書やワークから20〜50問を用意する。同じ問題をAIに1問ずつ質問し、正解・不正解を記録する。
プロンプト例:「次の問題に一言で答えてください。問題:〇〇」
検証方法:AIの回答を教科書・先生の解答と照らし合わせ、正答率(正解数÷問題数×100)を計算する。間違えた問題の傾向(年号に弱い、計算問題に弱い、など)も分析するとレポートの考察が深まる。 - AIで画像を生成して比較する
目的:同じ指示でも、AIツールによって結果が違うことを確かめる。
進め方:2〜3種類の画像生成AIを用意し、まったく同じプロンプトを入力して生成結果を比較する。
プロンプト例:「青い空の下で自転車に乗る猫のイラスト、水彩画風」
検証方法:構図・色使い・指示の再現度をそれぞれ5段階で採点し、表にまとめる。生成に何秒かかったかも記録すると比較がより客観的になる。 - AIチャットボットを作る
目的:AIの「言葉に反応して答えを返す」仕組みを自分の手で作って理解する。
進め方:JavaScriptで、あらかじめ決めたキーワードに反応するルールベース(if文で条件分岐する仕組み)のチャットボットを作る。詳しいコード例は次のセクションで解説します。
検証方法:想定した入力パターンを5〜10通り用意し、期待どおりの返答になるか一つずつ実行して確認する。 - AIと人間の文章を見分けられるか実験
目的:AIが書いた文章と人間が書いた文章を、人はどれくらい見分けられるかを調べる。
進め方:同じテーマ(例:「好きな本の紹介」)についてAIに文章を書かせ、自分でも同じテーマの文章を書く。両方をランダムな順番に並べ、クラスメイトや家族10人程度に「どちらがAIか」を当ててもらう。
プロンプト例:「中学生が書いたような文体で、好きな本を紹介する文章を300字で書いてください」
検証方法:正答率を集計し、判定の決め手になったポイント(言い回し、具体性など)を回答者に聞き取ってまとめる。 - AIに自分の学校を紹介させる
目的:プロンプトの書き方を工夫すると、AIの出力がどう変わるかを比較する。
進め方:学校の基本情報(生徒数・特色・行事など)だけを与えたプロンプトと、文体や対象読者まで指定した詳しいプロンプトの2種類を用意し、出力を比較する。
プロンプト例(シンプル版):「〇〇中学校を紹介する文章を書いてください」
プロンプト例(詳細版):「小学6年生とその保護者向けに、〇〇中学校の魅力を紹介する文章を200字で書いてください。部活動と学習サポートの2点に触れてください」
検証方法:2つの出力を読み比べ、事実として正しいか(学校のパンフレットなどと照合)、指定した条件をどれだけ満たしているかをチェックリストで採点する。
実践:ルールベースのチャットボットを作ってみよう
テーマ3で紹介した「AIチャットボットを作る」を、実際にコードで体験してみましょう。ここで作るのは本物のAIではなく、キーワードに反応して決まった答えを返す「ルールベース」の仕組みです。AIの応答の裏側にある「入力を判定して出力を選ぶ」という基本の考え方を体験できます。
const rules = {
"こんにちは": "こんにちは!今日は自由研究の相談かな?",
"AIとは": "AIは人間の知的な作業をまねるコンピュータの仕組みだよ。",
};
function reply(input) {
for (const key in rules) {
if (input.includes(key)) {
return rules[key];
}
}
return "ごめん、その質問はまだわからないよ。";
}
console.log(reply("こんにちは")); // → "こんにちは!今日は自由研究の相談かな?"
console.log(reply("AIとは何?")); // → "AIは人間の知的な作業をまねるコンピュータの仕組みだよ。"
console.log(reply("好きな食べ物は?")); // → "ごめん、その質問はまだわからないよ。" input.includes(key) は「入力文の中にキーワードが含まれているか」を調べる仕組みです。「AIとは何?」という入力には「AIとは」という文字列が含まれているので、2つ目のルールに一致します。どのルールにも一致しない場合は、最後のデフォルトの返答が返ります。
レポートには、このコードでどんな入力に反応させたか(rulesに追加したキーワードの一覧)と、実際に試した入力・出力の結果を表にしてまとめると説得力が増します。JavaScriptの基本文法をまだ学んでいない人は、先にJavaScriptレッスン1で条件分岐(if文)の書き方を確認しておくとスムーズです。
注意点(必ず守ること)
- AIの出力をそのまま提出しない:AIが書いた文章をそのまま自分の研究として出すのは不正。AIは「道具」として使い、考察は自分で書く
- 使用したAIツール名とバージョンを明記する:「〇〇(ツール名・バージョン)を使用して△△を調査した」のように、いつ・どのツールを使ったかがわかる書き方をする。ツールは日々更新されるため、利用した時期も併記すると正確
- AIの回答を鵜呑みにしない:AIは間違えることがある。必ず教科書や信頼できる資料など他の情報源で確認する
- 個人情報を入力しない:名前、住所、学校名などをAIに入力しない
- 著作権に注意:AI生成画像の著作権は法的にグレーゾーン。商用利用は避ける
- 引用の仕方を守る:AIの出力や参考資料をレポートに載せるときは、自分の文章と区別できるようにする。AIの回答をそのまま引用する場合は「」(かぎかっこ)で囲み、直後に「(AI〇〇の回答より、20XX年X月X日取得)」のように出典(何を・いつ参照したか)を書き添える。教科書やWebサイトを参考にした場合も同様に、資料名・出典を明記する
レポートの書き方
AIを使った研究のレポートには、以下を必ず含めましょう。
- 使用したAIツール名とバージョン
- 入力したプロンプト(指示文)の全文
- AIの出力結果
- 自分の考察(AIの回答は正しかったか、なぜそう判断したか)
自由研究の「まとめ方」完全ガイドでレポートの構成を確認。データ分析の自由研究と組み合わせるとより深い研究に。独学ロードマップでAI関連の学習パスも確認。高校生の自由研究も参考にしてください。
まとめ
- ✅ AIは「研究対象」にも「道具」にもなる
- ✅ AIの出力をそのまま提出しない(不正になる)
- ✅ AIを使ったことを明記する
- ✅ AIの回答は必ず他の情報源で確認する
- ✅ 考察は自分の言葉で書く